お前の番だ！ 237
「おう、ご苦労」 　鳥枝範士は稽古着の入っているバッグを万太郎に渡しながら玄関を上がると、その儘師範控えの間の方に向かうのでありました。万太郎はバッグを持ってつき従い、鳥枝範士が座敷に落ち着くとバッ..
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お前の番だ！ 228
「いやいや、実態は本当に使い走りの雑用係ですよ」 　良平はまた掌を車のワイパーにするのでありましたが、しかし一応謙遜しているのでありましょうが、万太郎にはその仕草が一種の自信に裏打ちされた謙譲である..
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お前の番だ！ 219
　数年前に万太郎と良平の黒帯取得のお祝い会を催した時と同じ、仙川駅近くの酒場での良平送別会における新木奈のはしゃぎようは、万太郎としては全く以って鼻白むものでありました。宴の最初の方こそあゆみと離れて..
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お前の番だ！ 217
「あゆみさんは、そう云う連中の事をどう思っているんだろう？」 　良平がコーヒーを飲んで喉の鉄槌をまた上下させるのでありました。 「さあそれは皆目判りませんけど」 「一番蓋然性の高い筈の興堂派の若..
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お前の番だ！ 204
「へえそう。誰？」 「来間注連男と云う男です」 　万太郎が咀嚼の合間を縫って応えるのでありました。 「あたし知らないわね、その人」 「大岸先生とは面識はないかも知れませんね。未だ学生さんで一般..
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お前の番だ！ 202
　万太郎は慌てて弁明するのでありました。「総士先生からは内弟子として日々多大な恩恵を既にいただいておりますので、この上ここでオムライスまで頂戴するのは弟子として余りに慎みがなく無調法と云うものでありま..
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お前の番だ！ 190
「そう。何時だったか稽古が終わってから、ちょっと相談したい事があるって云われて、土曜日のお習字のお稽古に行った帰りに、駅前商店街の喫茶店で待ちあわせてね」 「良さんに結婚を申しこまれたけど、どうした..
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お前の番だ！ 179
「でもあたしがそう云うからって、その話をまたここで蒸し返すのは嫌よ」 「はい。そう云う事は僕ごときがあれこれ考える事でもありませんから」 　そう云いながら万太郎はふと、そうなると総本部道場の将来は..
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お前の番だ！ 177
「いや、実は前から気にはしていたのです。まあ、入門から三年も経っているのに今更何ですが、花司馬先生が、あゆみ先生、とちゃんと尊称をつけて呼ばれているのですから、僕なんかも当然そう呼ばなければならないか..
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お前の番だ！ 171
　受付にあゆみと並んで座っていると、暫くしてから豪勢なアレンジ花篭が届くのでありました。万太郎が何気なく添えられたカードに目を遣ると、そこには、祝　書道展、の文字の横に、興堂派道場の威治教士の名前が大..
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お前の番だ！ 169
　上野駅から程近いギャラリーで開かれている書道展は、開場準備が未だ完了していないのでありました。展示スペース奥に在る関係者控え室に挨拶に行くと、椅子に座っていた大岸聖子先生が早速万太郎を手招くのであり..
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お前の番だ！ 166
　風呂から上がって内弟子部屋に戻ると、良平が二人の床を延べていてくれるのでありました。何時もながら兄貴気取りの全くない兄弟子であります。 「ところで万さんはどうするんだい、この三連休は？」 　良平..
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