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椿姫La Traviata/レニングラード国立歌劇場 [オペラ・バレエ・舞台]

レニングラード国立歌劇場オペラ
ヴェルディ作曲 オペラ「椿姫La Traviata」
2005/12/03(土) 東京文化会館大ホール

指揮 アンドレイ・アニハーノフ
演奏 レニングラード国立歌劇場管弦楽団
合唱 レニングラード国立歌劇場合唱団
舞踏 レニングラード国立バレエ団
出演 ヴィオレッタ  ナタリア・ミロノワ(Sop)
    アルフレード アレクサンドル・ボリンギン(T)
    ジョルジュ・ジェロモン ニコライ・コピロフ
    ドヴィニー男爵  アレクサンドル・マトヴェーエフ(Bs)
**************************************************************************
『レニングラード国立歌劇場オペラ』は今回で6度目の来日になる。
このロシア名門の歌劇場の魅力は伝統、実力もさることながら歌手、合唱、オーケストラ、バレエ
指揮者、舞台・照明・衣装どこをとってもすばらしく、特に芸術監督ガウダシンスキーの演出の妙!
ガウダシンスキーは奇抜なことはせず極めてオーソドックスな中に、作品を深く読み砕いた演出を
作品の本質は何か、どうすればそれを的確に伝えられるかを丁寧に描きだす。登場人物の心の
動きに細心の注意を払い、そして歌手たちに登場人物の心に寄り添いなりきることを求める。
ヴェルディの代表作『椿姫』は1998年日本公演の好評を受けての再演。パリの高級娼婦
ヴィオレッタと純朴な青年アルフレードとの愛。「世間の常識」から見ると許されない愛だが、
ヴェルディが言いたかったのは「ピュアな愛」。ただの悲恋ではなく純粋に昇華される愛。
結末がわかっていても涙が出る。後半、会場のそこここでにすすり泣き聞こえてくる。

少し押さえめなトーンの演奏から始まる曲、甘く物悲しい旋律が悲恋の物語の幕開きを
いっそう感じさせる。指揮はレニングラードバレエでもおなじみのアンドレイ・アニハーノフ氏
ヘアスタイルに特徴があるので遠目でもすぐわかります。今日の席は一階中央少し後ろ。
舞台中央に大きな大きな鏡(幕に付けてあるので引き上げられる!)
椿姫の演目は、主役の容姿が気持ちの入り込みにかなり多大な影響を及ぼすので
ドキドキ☆少しぽっちゃりだが十分美しいヴィオレッタの登場に心の中で喝采。よかった。
紺のドレスがよく似合う。このオペラはお姫様気分も味わわせてくれるので好きな演目。
鏡の幕が引き上げられると奥行きが出て、すばやくヴィオレッタの居間の場面に転換できる。
引越し公演の舞台セットの不自由さをこうした工夫で上手く乗り切っているのがいいです。
お客さま一同、白のドレスの淑女と黒の紳士たち。華やかな場面、アルフレードの登場。
きゃぁぁぁ~♪いい☆今まで見た中で一番、いいかも。細身で若くカッコイイ!「愛に憧れる
青年」っぽい。声は、まだ線が細いというか、一幕は声がしっかりでてなかった。でも、いい。
主役二人が◎となった時点で、もうすっかりいい気分に浸り、嬉しくなった。本当に単純である。
有名な「乾杯の歌」もうっとりと聞くことができた。信頼の厚いオケ演奏も安心して聴いていられる。
二人を引き裂く悪役のパパ・ジェロモンはなかなかいい感じの声と見た目、ヒゲとたっぷりした姿
父親の想いを切々と訴えるのも上手。ただとてもなめらかに唄うので少し軽く感じられたかも。
ヴィオレッタの酒宴は、お客さまは白のドレス、次のフローラの酒宴は黒のドレスで、愛の喜びと
その後の苦難を視覚的に表現していて、周囲の黒の中にヴィオレッタだけが純白のドレスで
純粋な愛の苦渋をそこに思い憐れを誘う。ジプシーとマタドールの群舞も素敵、とても綺麗です。
バレエは短い時間なのですが舞台がぱぁっと華やかさを増すのです。
ラストは、父がアルフレードに本当のことを話し、ヴィオレッタの元にアルフレードと父がやってきて
詫びるが時すでに遅くヴィオレッタは死んでしまう。。。ということなんですが泣けます。
このラストシーンはもうわかってることなんですが「先生を呼んで!アルフレードが戻ってきてくれた
から生きたいの!」いや、もう死んじゃうんだってば(涙) 「パリを離れて」(健康を取り戻せる?)、
歌詞も切なすぎる。オロオロするだけのアルフレードがまたすごく情けない感じでいいんです。
アルフレードはフローラの酒宴以降はすごく声が伸びていてよくなりました。張りのあるいい声です。
パパ・ジェロモンは後悔の歌。しっかりと舞台を支えてくれてます。

カーテンコールも、4回5回とこれでもか!と大サービスでした。

レニングラード国立歌劇場オペラTHE LENINGRAD STATE OPERA
ロシアにおける文化、芸術の中心地サンクトペテルブルグ(旧レニングラード)。
この地で培われ愛され続けてきたレニングラード国立歌劇場は、170年余りの歴史を有し、 サモスード、コンドラシン、ザンデルリンク、テミルカーノフなどの偉大な歴代指揮者のもとで 活動を行ってきた。プロコフィエフの「戦争と平和」などを初演した劇場としても知られている。


対訳本、大変便利。小さいので劇場にも持って行きます。

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コメント 8

チロル

こんばんは。ブログにご訪問ありがとうございました。
邪道な見方かも知れませんが、ヴィオレッタ&アルフレードが
「貫禄たっぷりな人だったらどうしよう?!」と思っていたのですが、
その点は十分、満足のいく歌い手さんで良かったです(笑)
アルフレードは1幕で曲に乗れていない所があって、
ハラハラしましたが、2幕は全然問題なしでした♪
比較的、お手頃な値段で初・オペラを観ることができて
良かったです。
また機会があったら、ぜひ足を運びたいですね!
by チロル (2005-12-06 00:50) 

Ren

チロルさん、コメント&TBありがとうございます☆
貫禄たっぷりなヴィオレッタ&アルフレードの可能性ありますよね。
今回は悲恋にぴったりな配役でとてもうれしかったです。
1幕は緊張していたのでしょうか?声出てませんでしたよね。
私は早々と来年6月の「魔笛」を予約しています♪
by Ren (2005-12-06 07:03) 

もりとも

TBありがとうございました。
私が見たアルフレードはぽっちゃりちっちゃかったんですよー。
でもヴィオレッタがキレイで、父上がダンディーで、男爵が悪カッコよかったのでヨシ(^^)bでした。
by もりとも (2005-12-08 23:36) 

Ren

もりともさん、コメントありがとうございます☆
ぽっちゃりアルフレードでしたか。ありがちですが・・・(~_~)
父上はヒゲで恰幅の良いニコライ・コピロフさんだったのかしら?
いい声でダンディーでしたね。
by Ren (2005-12-09 06:40) 

kyoko

Renさん こんにちは。お邪魔します。私の時のアルフレードはぽっちゃり系でして...ありがちなんですかっ??声はすばらしかったんんですけどね。。。またよらせていただきます。ありがとうございました。
by kyoko (2005-12-09 17:04) 

lico

TBありがとうございました。私の方もTBさせてください。
私にとっては初のオペラで、しかもどの劇団が良いのか全く分からず、とりあえずチラシを手に取ったときにビビッと来たので今回のレニングラード…を観に行ってしまいました。
素晴らしくて大満足でしたが、初心者には分からないことも多かったので、Renさんの記事を読んで勉強になりました。
アルフレードがカッコイイ♪と思いつつも「こんな見方、邪道??」と私も思ってしまいましたが、同意見の方のカキコミを見てホッとしてます。
by lico (2005-12-09 18:27) 

Ren

kyokoさん、コメントありがとうございます☆
絶対病気には見えないぽちゃぽちゃのヴィオレッタと中年太りのアルフレード、父より貫禄十分なんてこともありますから(汗)
ぽっちゃり系は許せる範囲かなぁ。声がよかったということなので○。
また遊びにいらしてくださいね!
by Ren (2005-12-10 08:26) 

Ren

lico さん、コメント&TBありがとうございます☆
レニングラード国立歌劇場は年末に日本でオペラにバレエ、と
たくさん公演があって、他公演にも行きたいのですが日程が難しい・・・
高額なMETなどに比べてお得にオペラを楽しめるので嬉しいです!
私もまだ初心者勉強中の身なのでこれからもいろいろ観たいです。
by Ren (2005-12-10 08:30) 

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