旧東京第一陸軍造兵廠跡十条工場275号棟跡（東京都北区十条台）

　東京第一陸軍造兵廠跡の一部である陸上自衛隊十条駐屯地敷地の東側に「旧十条工場275号棟跡」が残っています。場所は、JR埼京線の十条駅で下車し、南の十条駐屯地を目指して歩きます。埼京線の線路に沿って南に歩くと原町踏み切りがあります。その近くに古い巨大な壁の一部がありますが、これは旧東京第一陸軍造兵廠の壁の一部です。
　踏み切りの通る道を東に歩くと十条駐屯地に着きます。その正門を右手に見ながら進み、マンションの前を右に入ります。しばらくすると公園のある遊歩道に出ますので、それをまっすぐ南に進むと左側に巨大な建物跡が見えてきます。
　戦時中は、東京第一陸軍造兵廠にはこのような立派な赤煉瓦造りの工場がたくさんありましたが、そのほとんどが戦後に取り壊されました。この旧十条工場275号棟跡は自衛隊の敷地の外にあるために取り壊しを免れていましたが、老朽化が進んだため取り壊されることになりました。
　現在はすでに取り壊しの作業中で、この時点では「根切り」という作業の段階でした。地元の方にお話をうかがったところ、赤煉瓦造りの一部は新しい図書館として生き残るそうで、見学会もあったそうです。また、最近まではタイヤの倉庫として使っていた会社があったのですが、ひどい雨漏りに悩まされていたようです。（2006年9月9日撮影）

　工場の西側は歩道に面しています。

西側の壁の窓の部分。

窓の無いところからのぞいた建物の内部。

　写真は建物の北側の部分。取り外された煉瓦のかたまりも見えました。
　旧十条工場275棟跡の北歩いてすぐのところに東京第一陸軍造兵廠殉職慰霊碑があります。また歩道を隔てて慰霊碑の反対側に赤煉瓦造「旧変圧室」モニュメントが駐屯地の敷地内にあります。
　また、歩道を南に進むと北区中央公園がありますが、ここもかつては造兵廠でした。この公園にある北区文化センターの建物はかつての東京第一陸軍造兵廠の本部であった建物です。

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コメント 6

煉瓦の工場とは立派ですね。
by kan (2006-09-27 21:43) 

>KAN様、こんにちは。いつもコメントありがとうございます。ここにはこのような煉瓦造りの立派な建物がたくさんあったそうです。いろいろな事情はあると思いますが、優れた近代化遺産として後世に残したいものです。
煉瓦造りといえば東京駅もとても有名ですが、東京駅の元々の煉瓦は埼玉県の深谷の工場で焼かれたものです。
現在のJR深谷駅は東京駅を模したものです。
by i-shinkuro (2006-09-28 12:31) 

色々勉強になります。
by kan (2006-09-28 15:57) 

>KAN様、恐れ入ります。深谷は、煉瓦で日本の近代化を支えた町、ということになるかと思います。いつか深谷の記事も書きたいのですが…。
by i-shinkuro (2006-09-29 18:13) 

はじめまして。急速な開発の中でこのような歴史的遺物が、林立する工場やビル群のすきまにひっそりと生き残っている、というのが東京のある種の魅力だと思います。それらにあえて光を当てるため精力的に取材していらっしゃるＰＩＲＯＳＨＩさんの記事は、とても励みになります。
ランキングに応援ポチしていきます。次回の更新を楽しみにしていますね。
by ゴロケン (2006-10-09 10:25) 

>ゴロケン樣、こちらこそ初めまして。ご訪問ありがとうございます。なかなか時間が取れないので、用のついでに取材している感じです。最近は特に公私共に忙しくて全く更新していません。
古い写真はたくさんあるのですが…。他の近代化遺産についても、もっともっと取材したいと思っています。
近いうちにゴロケン様のブログをじっくり拝見させていただきます。
これからもよろしくお願い致します。
by i-shinkuro (2006-10-09 21:32)