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考えることで損をする。 [エッセー]

愚かな者は、自由という名前の自分勝手を着飾り、個性という名前の独りよがり偏重に陥りやすい。


頭の中の消しゴムという映画を知っているでしょうか。
韓流ブームに、台本と音楽の盗作で話題となった映画ですが、韓国は盗作を行う事に抵抗が無く、文化や創作に意味を見いだしていないため問題とはならなかったようですが、日本で公開するにあたりさすがに音楽が問題となり、原曲名を載せることで事なきをえて、公開することができた映画です。
最近この映画が地上波で流れていたようですが、わたしは盗作のみにより作られた映画を見ることが有意義であると思えないため、見ていません。

そこでわたしが言われたある若者の一言がとても興味を挽きました。
「パクリだって面白ければ良いじゃない、それで観ないなんてあなたは損をしている!ファッションだって人の真似をすることで進歩するんだよ」
若者らしいとても率直な意見で、学習と盗作の別はなく、面白ければそれでよいという考えを持っていることが見て取れます。
もちろん独学よりはまずは優れたものを真似することから入ることに争う余地はないと思います。歴史により物事は昇華して行き、より高度になるものだと言うことは証明されています。手塚治虫はマンガを描くにあたり、医学部で勉強したほどですし、モーツァルトは15歳までにその時代の誰よりも楽曲を勉強したそうです。ゲーテも、「私が偉大な先輩や同時代人に恩恵を蒙っているものの名を一つ一つ上げれば、後に残るものはいくらもあるまい」と言っています。
そして当然わたしも、数々の本で培った知識や人々との会話等を参考にブログや論文などを作成しています。

しかしそれらは先人たちの積み重ねを、学習し、乗り越えるための真似であればの話です。しかし、ただの盗作となればどうでしょうか。
積み重ねを尊重せずに「これ面白いから配役の名前だけ変えて、音楽はこっちから持ってきて曲名を変えて自分の作品にしちゃえ」と考えることは、先人から学習しているとは言えません。

しかし右に倣えの近代日本人には、しばしばこのような姿が見て取れます。
例えば昨今の音楽業界などは顕著で、歌謡曲というジャンルに平原綾香や宇多田ヒカルのように先人に学び、昇華させヒットを飛ばしたり、Coccoのように基本的な曲から歌を遊んでるかのような曲まで歌うグループ、さらには広瀬香美・ロマンスの神様のように技術的に歌いヒットを飛ばす歌手などが居ます。
しかし最近、ある泣かず飛ばずだった女性ミュージシャンが下着のような格好で歌うことで大ブレイクしました。これに目を付けたマスメディアは、個性的という言葉をつけて売っています。
泣かず飛ばずだっただけはあり、歌唱力は普通で歌も無難にまとめてあり、ある専門家に言わせれば、誰でも一年もボイストレーニングを受ければあの程度にはなれるそうです。しかしどちらが金銭的に高い評価されているかは皆様のご存じのところだと思います。
もちろん下着姿で歌うことを評価する事は咎めませんが、文化を進歩しないものを、文化を進歩するものより高く評価することに大きな弊害もあるのです。先人を敬い踏襲し、昇華してこそ文化は発展するのです。
今回の、頭の中の消しゴムなどはただの盗作は先人を敬い踏襲し、昇華しているとは到底言えず、これを評価する如きはまさに、文化の阻却ではありませんか。
国家の品格ではありませんが、江戸時代の日本は西洋や中国の文化を踏襲し取り入れ、世界一の初等教育を完成させましたが、大戦後学習する事ができずに、米国の文化を押し付けられ、その初等教育は失墜しました。

愚かなる者が評価をし、近代日本人は愚かなる者の流行に置いて行かれないように評価したことにする、これでは近代日本の文化の進歩が遅いのも頷けます。


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