甥っ子が溺れてる！？ [記憶のカケラ]
夏になると思い出すことがある。
子供たちがまだ小学生と幼稚園だった頃のことだ。
夏休みに実家へ里帰りし、同じく里帰りしていた姉やその子供たちと
バスで１時間ほどの所にあるきれいな渓谷へ遊びに行くことにした。
キャンプ場にもなっていて、宿泊施設もある所だ。
大人は私と姉。子供は私の息子と娘、姉のとこの息子２人（小学校高学年）と娘の５人。
朝から母が巻き寿司を作ってくれて、それを持って出かけた。
渓谷はとてもきれいな水が流れていて、
私たちも小さい頃からよく遊びに来ていた所だ。
実は、私は泳ぐのが苦手である。
全くのかなづちという訳ではないが、苦手なのだ。
足が届かない所はとっても怖い。＾＾；
それに比べて姉は泳ぐのが得意だった。
習ったわけでもないのに小さい頃から泳げていた。
なので、私は心強かった。
男の子３人は小学生だったが、スイミングにも通ってたりして
一応泳ぐことができたので、私も姉も心配はしていなかった。
女の子２人は泳げなかったけれど、臆病なので、これもさほど心配しなかった。
緩やかな流れの川とはいえ、深いところもあるので
私たちは安全に遊べるポイントを探しながら渓谷を上がって行った。
息子よりも少し年上の甥っ子２人が早速おもしろそうなポイントを見つけてはしゃぎだした。
大きな岩から飛び込んだのか、バシャバシャという水しぶきの音が聞こえてきた。
私と姉は娘たちを危なくない浅瀬の水際へと連れて行って、男の子達の様子を見た。
私の息子は大きな岩から飛び込むのが怖かったのか、岩の上にいたが
なんだか様子がおかしい。
甥っ子２人をよくよく見てみたら、はしゃいで遊んでると思っていたのは大間違いで
２人とも溺れているではないか！！！
岸からさほど遠くない所だが、明らかに深そうな場所だ。
私は焦った。
でも私は泳ぎの得意な姉がすぐに助けにいくものと思っていた。
ところが姉は、どうしたことか、言葉を発するのみでなんの行動も起こそうとしない。
姉 「何やってるの！？早くこっちまで泳いできなさい！！」
私 「溺れてるのに、そんなこと言ったって無理だよ！！助けなきゃ！！」
動こうとしない姉。（後から思えば、動けなかったのだろう・・・）
私は洋服の下に水着を着ていたので、泳いでいくことも考えたが
足の届かない所は恐怖だった。
胸の鼓動が頭のてっぺんで鳴り響いた。
考えただけで心臓が口から出そうだった。
私にはできなかった・・・。
浮き輪を投げ入れようとしたが、なかなか届かない。
そうこうしてるうちに、長男の方は、自力で浅い所までやって来て助かった。
でも弟の方はまだ深みで必死でもがいている。
運悪く、近くを通る人の気配もない。
いろんなことが頭に浮かんできた。
甥っ子のお葬式が頭に浮かんだ。
姉の旦那の顔も浮かんだ。
甥っ子たちのおじいちゃん（亡くなっていたが）の顔も浮かんだ。
新聞記事まで想像した。
あくまでほんの一瞬の短時間の間にである。
中に入っていこうか、葛藤をしながら
浮き輪を投げ入れることを何度か繰り返した。
そのうち、もがいていた甥っ子が疲れ果ててしまい、もがかなくなった。
すると、動きが止まった甥っ子の身体は水の流れに流されて
下流の浅瀬の方へ流されて行った。
私はすぐに浅瀬の方へ移動して水の中へ入り、甥っ子の身体をつかまえた。
甥っ子を横にして水を吐かせた。
息はしてる。
意識もある。
会話もできる。
しきりに 「ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・」 と次男坊は繰り返していた。
姉は・・・？
どこ？
何してるの？
見ると、姉は、バスタオルを川の水で黙々と洗ったりしていた。
「そんなのどうだっていいから、とにかく下（建物がある所）まで連れて行こう！！」
そう言っても姉は自分でやってることがわかってないらしく、
バスタオルを洗い続けていた。
姉は明らかにパニックになっていたのだ。
私は姉のところの長男と私の息子に妹たちの手を引くように頼み
荷物は姉に頼んで
甥っ子をおぶって川沿いの遊歩道を下りた。
寝かせていた時にも結構水を吐いたが、おぶってる時も何度か私の肩越しに
水を吐き出した。
おぶって下り始めたはいいが、甥っ子の身体は思った以上に重く
私の足はガクガクしてきて、今にも倒れそうになった。
でも姉には頼めるような状態ではなかった。
と、その時、下から上がってくる中年のカップルが見えた。
私はその男の人に手短に状況を説明し、思い切ってお願いしてみた。
するとその人は、快くすぐに甥っ子をおぶって下まで連れて行ってくれたのである。
その人が神様か仏様かスーパーマンに見えた。
建物の所まで来て甥っ子を寝かせると、その人はすぐに立ち去って行った。
名前を聞いたが、名乗ることもしないで風のように立ち去ってしまった。
ただただ後ろ姿に頭を下げてお礼を言うのみであった。
甥っ子はそこからタクシーで姉と病院へ行った。
私は残った子供たちとバスを待ち、実家へと向かった。
お弁当の巻き寿司も開くことなく帰った。
実家に帰り着き、電話連絡を聞いて心配して出迎えてくれた両親の顔を見たとたんに
緊張の糸が切れ、私は大泣きしてしまった。
ボロボロオイオイと号泣してしまった。
甥っ子は念のためということで、病院に一日入院することになったが
翌日には元気に帰ってきた。
よかった・・・本当によかった。
反省点はたくさんあった。
人間、パニックになると、思いもよらぬ行動をするものだということもわかった。
あんな思いはもう二度としたくない、させたくないと思った。
暑い夏、水には十分気をつけましょう。。。
怖いですね・・・後輩を海で亡くしたことを思い出しました。今でもつらい思い出でしかありません。彼の息絶えた顔がまだ鮮明に思い出すことができます。
by gutta (2005-08-11 09:59)
怖いですね～～～経験したくなかったですね(・・;)
命に別状なくて何よりでした。
以前、大きな公園の中を流れる川で水遊びをしていて
隣で子供だけで遊んでいたうちの１人が足を踏み外して
深みにハマってしまいました。
近くにいた私も泳ぎは苦手で、どうしたらいいか途方にくれていたら
そばで家族で遊びに来ていたおじさんが服のまま飛び込んで
助けてくれました。
良かったね～～と周りはホッとするけど、
その子のお母さんはどこにいるやら・・・。
その子供たちはお礼を言うでもなく、ボーゼンとしながらどこかに
戻っていきました。
その後、私たちが帰るまで、助けてくれたおじさんの元に親と一緒に
御礼に来る事はなかったです。
私たちが帰った後にでも、キチンと来ていればいいけど
なんか後味の悪い思いだけが残りました。
by 綺華 (2005-08-11 10:48)
溺れた事、私も一度あります。
中学校の水泳の授業の時でしたが、自分の身長よりも深い場所がプールにあって、その場所で息継ぎに失敗したのか泳ぎをやめて立ち上がろうとしたときに、深かったんですね^^;
ひぃ^^;って思った時は水飲んだりして、パニックになってどうにもできませんでした。
ただ覚えているのは、溺れながら体育の先生が飛び込んでくる姿。
そのまま抱え上げられ、プールから上がった私ですが、飲み過ぎにはならなかったようです。（違）^^;
周りもパニックになるなら、溺れている側もパニックになっているんですよね。
Ｐｅｋｏさんの甥っ子さんも大事にならなくて本当に良かったですね。
水の事故、気をつけたいと思います。
by ★ＴＡＫ (2005-08-11 19:10)
私も泳ぎは得意ではないので、川・海はとっても慎重です。
皆気をつけているのでしょうが、毎年何人もの子供＆大人が溺れて亡くなる
記事を目にすると・・・いつも以上に慎重になりますね。
とっても怖い体験をされたのですね！！
私もお姉さんと同じく、パニクルの間違えなしですね。
本当、大事にならなく良かった！！
今日私は、室内プールに行ってきたのですが・・・
そんなところでも、足が届かないと怖い！と叫んでいるなっちゃーでした(^^ゞ
by natyako531 (2005-08-11 20:52)
＞ぐったさん、辛いご経験を思い出させてしまってごめんなさい。
水は本当に怖いと感じます。
甥っ子は運がよかったのだと思います。
読んでくださって、ありがとう。
＞ayaka さん、怖かったですよ～
身体中が心臓になったみたいにバクバクしてましたから。
なんとかしなきゃと思っても水に飛び込む勇気はなくて
どうすることもできず、情けなさでいっぱいでした。
運良く助かったからよかったですけどね・・・
ホント、危なかった・・・（怖）
我が子がそんな危ない目にあってただなんて
あとで聞かされたら、さぞかしビックリされるでしょうね・・・
私も、甥っ子をおんぶしてくれた方には、もっとお礼が言いたかったですね～～
あ、初戦突破、やりましたね。＾＾
＞★ＴＡＫさんも溺れちゃったんですかぁ～～
そうなんですよね・・・
自分では浅いと思ってたところが思いがけず深かったりすると
びっくりしてパニックになっちゃうんですよね・・・
姉だけじゃなく、私もパニックでしたね。
あとで考えれば、浮き輪を持って私が入ればよかったんじゃないかと・・・
それでも怖いですけど。＾＾；
ほんと大事にならなくてよかったです。甥っ子も★ＴＡＫさんも。＾＾
＞なっちゃーさん、本当に怖い思いをしました。
水の事故のニュースを聞くたびにぞっとします。
甥っ子は本当に無事でよかったです。
勢いで飛び込んでたら、私がダメだったかもしれませんよね・・・
本当によかった・・・。
私もプールでも足が届かないとダメダメです。
子供ふたりには強制的にスイミング習わせました。＾＾；
コメントどうもありがとう。
by Peko (2005-08-11 22:25)