デジタルカメラを手に入れる方法 [カメラ]
わたしの父は1923(大正12)年生まれで、太平洋戦争では陸軍兵士として出征した。
所謂学徒動員というやつで、である。
今でも神宮外苑で行進する学生の映像が残っているが、あの中に父もいたのである。
「大学に入って、ヤレヤレこれからのんびりと勉強でもしようと思っていたのに」、
と父は、未だに学徒動員や戦争に憤懣を隠さない。
父は終戦を釜山で迎えた。
帰還後大学に復学したが、終戦直後のドタバタで学問どころじゃなかったらしい。
大学の研究室に残ることもなく、すぐに職に就いた。
戦災で実家がかなりの被害を受けていたことも理由の1つかもしれない。
父は、そういった事情もあってか、戦後体制について相当なシンパシーを持っている。
それは、彼の戦争体験からかもしれないし、戦後こそは自分たちが作った、
という意識からかもしれない。
国連とか、国際協調、平和主義、といったものに肯定的である。
だが、70歳を過ぎたあたりから、ごく偶にだが、妙に愛国的な言動を発するようになった。
「ああ、この国はどうなってしまうのか」とか「あいつらのために日本は大変な目に遭うぞ」とか。
なぜそんなに怒るのか理解できないときもあるが、まあ、家族は聞き流しているだけだけど。
変われば変わるものだ、という月並みな感想がわいてくる。
さて、最近の父の愛国的至情は、中国に向けられている。
例の反日デモが原因である。
あのデモの映像を見、中国政府の発言を聞くにいたって、彼は沸騰した。
「中国には、中国なりの事情もあるのだから‥‥」という理屈は通じない。
坊主憎けりゃ‥‥、の譬えみたいだが、ついに中国製品にも反感を持つに至ったのである。
両親の家にある中国製品は、父がそうと知った段階で処分されることとなった。
もちろん、大切なものは母が隠していますがね。 とにかくそうなってしまった。
老いの一徹、いやぁ恐ろしいばかりである。
それで、オリンパス社製のE300というカメラのことである。
デジタル1眼レフ、というもので、レンズ交換が出来、800万画素の高級カメラだ。
また、同じオリンパス製の交換レンズも優秀で、大変きれいな写真が撮れる。
この優れたカメラを、父は以前から欲しがっていて、この5月に「ヨドバシカメラ」で購入した。
「良いだろう」とわたしに自慢するのが何となく悔しい。 チェッ、いいなあ。
その父の自慢の逸品なのであるが、これがメイド・イン・チャイナだったのである。
ある時、わたしがE300を見せてもらっていて、そう書いてあるのを見つけたのだった。
父は、なかなか信じなかったが、渋々カメラを手にとってそのことを確認するや、
「こんなカメラ要らん。だれぞに呉れてやるわ」 と言い放ったのであった。
それで、わたしがそのカメラをもらい受けることにした。
「あなた(父親のことですね)を悩ますカメラだったら、息子のわたしが代わって使いましょう。
それであなたの悩みが無くなるのであれば、親孝行としてこんなに嬉しいことはありません」
そう、父に言ってもらい受けた。
まったく人助けというものは気持ちの良いものである。
このカメラ、先日北海道に持って行ったが大変きれいな写真が撮れた。
幸い、わたしは中国製品に含むところはないので、長く愛用してやりたいと思う。
どうも写真がきれいだと思ったら!!!そういうことだったんですね。
しかし…頑固一徹!!な、お父様。ちょっとファンになってしまいます。
でも、これだけ世の中に溢れる中国製品を隠すのも大変ですよね。
そんな訳で、お父様ではなく、お母様にnice!かな?(笑)
by じゅんぺい (2005-08-23 21:19)
いつもいい色出てますよね。う~ん、中国もあなどれないな。僕もデジタル一眼レフが欲しいんですが、なかなか…
by gillman (2005-08-23 21:43)
じゅんぺいさん。
コメント&nice!、ありがとうございました。
写真をお褒め下さいまして、嬉しいです。中国製品って、結構多いんですね。
でも、全部がメイド・イン・チャイナって書いてあるわけでもありませんので、
それほど大変でもないです。
母は、いつまで続くんだろうねぇ、って言ってます。
by ナツパパ (2005-08-24 20:34)
gillmanさん。
デジタル1眼レフですが、確かに性能は良いんですけれど、重いんです。
これを持ちながら歩いていると、肩が凝ってきそうです。
昔のフィルム時代は、1眼レフのカメラを持って、当たり前にそうしていたんですけど。街歩きの伴侶には、ちょっと、という気もします。
by ナツパパ (2005-08-24 20:38)